ep4. 親切心と言葉
あるバイト先で働いているときだった。私の状況を少し知った一人の外国人のお客さんが、私にオンラインでできる仕事を親切にも教えてくれた。私はその時英語がある程度話せたので、十分、語学教師になれるよ!オンラインにこのようなプラットフォームがあって~と、勧めてくれたのだ。そして彼が私を気遣って、去り際に戸棚に抹茶のお菓子を置いていってくれたのを知ったときは、本当にうれしく、私の心にきらきらとした何かが戻った。
外国人の人と接すると、表面的でない他人への気遣いや優しさを、お金より大切にしているんだと感じることが多くある。歴史や、宗教、文化、国の教育が関わっているのだと思う。それが、私が海外が好きな理由の一つだ。
そういうわけで私は、それをきっかけにオンラインで仕事をはじめた。それをしながら、実家にある軽自動車で、日本各地をまわって車中泊の旅をしようと思った。私に最適な場所を見つけるのにいい方法だと思ったからだ。
車中泊をしたいと思っても、まだ、私には、車の運転が上手でないという不安があった。運転は、親の運転するのを見てきたが、父が他のドライバーを見て運転の仕方を否定する態度や、運転中に難しい道はどうにもならないと説明しパニックになる様子をそばで見てきて、恐怖感や運転の難しさを植え付けられていたからだ。
私は車中泊に出ようと思っても、運転に自信がなく、何か起こったらどうしよう、と、そのままの精神性では行くことは出来なかった。そのときちょうど、オンラインの仕事を通じて最初に出会った外国人に、車中泊の話をした。心のどこかで、車中泊の旅に出るのに私に残っている不安を拭ってもらえないか期待していた。
彼には、「何か起こったら、起こってからどうにかすればいい。大丈夫。できる。」と言われ、「そうだ、起こってから考えればいいんだ、どうにかするしかないし、どうにかなる。」と思い、決心がついた。彼の言葉なしに踏み出すことは不可能だった。
誰かからの言葉によって、何かをできる、できない、そう思い込んで、行動に影響が出るのだろう。
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