ep2. 幸せになりたかったけど、なろうとしなかった〜私の見た世界〜

「海外に行く必要なんてない」「勉強するわけでもないのにお金を使って、何のためにいくの?」

そう彼らが言っているのが、遠くで聞こえる。

社会に貢献する、仕事をする、お金を稼ぐ、そういうことだけにしか意味がなく、まるで、そういうことだけをすることが正しい姿であるかのように、教えられた。

でも私は旅に出た。理由なんてなかった。

私はただ星を眺めるのが好きで、星空がきれいな『テカポ湖』 に、いつか行ってみたいと思っていた。そしてそれが、このとき思いつく唯一の、理由も意味もない、私がしたいことだったのだ。

そして私はニュージーランドに来た。自然が豊富な南島だ。

ただあの景色が見たい。あそこに行きたい。社会貢献、仕事、勉強、能力関係なしに、自分の行きたいところに行って、感じるままに行動して。こんな自然なことをするのは人生で初めてだった。お金と時間も使うから、後ろめたくなるようなことかもしれない。でも、大自然の中、誰にも見張られていないような気がした。

ニュージーランドに着くまでには普通起こらないような様々なトラブルに見舞われたのだけれど、その話はまた機会があれば話すことにしよう。私はなんとか宿まで到着した。

日本人が経営するゲストハウス(バックパッカーズホテル)だ。ネットで宿を探しているときに、値段も安くて部屋もかわいく見えたのでそこにした。私のこの旅は急に決めたものだったから、その宿はネット上ではすでに満室となっていたのだけれど、直接電話して開いている部屋を事前に予約できた。

ゲストハウスに到着してからすぐは、日本から持ってきた食料を食べて、何日か寝て疲れを取った。そのあと、私はそこに住む人々にフレンドリーに話しかけるべきだと思って、いつもの私のように気を使いながらも、何人もの人に話しかけた。世界一周する人たち、ワーキングホリデービザで働きながら行きたいところへ行き、やりたいことをする人たち、、、。

そこで出会った人たちは、自分の考えを大切にし、社会のルールに縛られず、もっとそれぞれの人生を、自由に生きていた。それは今まで元気がなかった私の気持ちを大きく切り替えてくれた。

そこでは、私の意見も尊重された。私は初めて、例えば、食べられないもの、体質的にできないことなど、人と違うところや私の考えを話すことができ、彼らはそれを何の疑いもなく理解してくれた。そして、家族や他人関係なく、人と接する彼らは、私に心からのアドバイスをくれた。彼らは彼ら自身の人生を送っていて、私に必要以上に干渉してくることもなかった。みんなそれぞれを尊重して、助けあって、笑いあって、爆笑して、天国のようだった。

ニュージーランドに滞在している期間の後半は、私はまた一人で、行きたかった場所へ旅に出た。たった一人で、壮大な自然の中にいるのは、少し恐ろしいことでもあったけれど、自分のペースで自然を感じることに集中できるから、一人で見る景色はより記憶に残る。どう言葉に表そう、そびえたつ山に、地球のしっかりとした丸くて重い大地、ギラギラと光る太陽。

そうして、知り合った人たちとニュージーランドの大自然に囲まれ、私は気力を取り戻し、再び日本へ帰る。

続く→